退職金で自社株評価下げ

退職金を一括で支払う事で自社株の評価を下げられることは既知の事と思いますが、具体的にどの程度下がるかを実績とともに検証したく思います。

類似業種比準方式採用の場合

純資産も厚く、利益が毎年コンスタントに計上される優良企業のA社は後継者も決まっており、後は如何にスムーズに自社株を移転させるかが頭痛の種であった。様々な解決策を検討したがいずれもリスクがあったり財務の健全性を損なうなど、採用に二の足を踏むものだったが、退職金を支払うタイミングで株価が下げられることがわかり、この方針を採用した。

前提となるBS・PLは次のよう

従業員は100人以上で大会社の区分、総資産25億円、純資産18億円、税引前利益2億円、配当は12円/1株単価50円当たり。これで計算すると評価額が1900円/1株単価50円当たり。となった。

この条件で退職金を7000万円ほど計上し、配当をゼロにした結果1200円/1株単価50円当たり。まで引き下げることができた。

株価引下後の株式移転

退職後も生存しているのでその後数回に分けて暦年贈与をした場合、二度目以降の株価は戻ってしまうので暦年贈与は得策ではない。相続時精算課税を使う場合移転時での評価額が固定できるのでこの方法と後継者が借入をして買取る方法が考えられる。

実務的注意点

前提をほぼ同じにしても、国税庁の発表する基準値が変化するので評価会社の数値だけ変更しても常に同じ効果が得られるわけではない。当該会社の場合、国税庁の基準の株価も低下傾向であったためより効果があった。実行と株価計算は税理士の検証が必須である。

純資産法の場合

純資産法の場合も、退職金を支払って純資産を減額できたなら、株価はさがる。ただ一点懸念があるのが、損金計上保険で含み資産を保有していた場合、退職金の支払い原資がその含み損の場合、退職後の決算の純資産法の株価は変わらないと考えた方がよさそうである。

純資産法の後日談、純資産法では会社の財産は財産評価基本通達によって評価することになってます、よって退職前の株価は含み資産(未計上解約返戻金)が含まれると考えるべきであろう。根拠は財産基本通達214条。こちらも税理士に確認すべきである。損金計上の保険は退職金支払い前では含み資産分が上乗せになっている。と考えられる。